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アンケートから生まれた Love story
第9章 花火
── ‟ 急な出張でドタキャンとか普通にある ”
そう言っていた彼に、気を遣わせない為にも
敢えて私の方から会う約束をしないようにしていた。
海外渡航は暫く無いけど、内勤の方が意外とやることがあると
電話やメールの向こうで彼は本当に忙しそうだったから
出来ることは自分でやろうと
元婚約者からお金を取り戻す方法を、私なりに色々調べて奮闘したけど
それでも、7月末
気付いたら私の口座にぴったり300万円が戻ってきて
元婚約者から謝罪の手紙まで届いた。
‟ 読んだ? ”
‟ 読んでない ”
‟ なんで。読んでやれよ ”
‟ いいの、もう必要ない ”
笑ってそう返せるくらい
もう未練なんて1ミリも残っていなかった。
……彼と一夜を過ごした日から、半月。
前に前に、次へ次へと焦っていた自分から
解放されることがこんなにも気持ちいいなんて、知らなかった。
一体何をそんなに縛り付けていたんだろう。
もう結婚とか、そんなのに拘ることすら放棄していいのかも
……なんて
そう簡単には思えない
穏やかな気持ちのままいられない原因が
また私の携帯電話を振動させた。