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アンケートから生まれた Love story
第9章 花火
「……また。今日で3回目」
8月に入った1週目、木曜日の夜。
会社のセキュリティゲートを抜けた、エントランスホールで立ち止まった。
……意志の弱い私が
この電話に出てしまったら、また元に戻ってしまう気がする。
だからずっと避けていたけど
このまま無視をし続けた後の方が、考えるだけでも恐ろしい。
「……もしもし」
ガラス窓に沿って並んだ、フリーのソファに座って
スマホをタップして1週間ぶりの通話を始める。
「分かってます。
でも、今回もあなたの紹介は必要ありません」
この返し方も何度目だろう。
一度お見合いをした後、やっぱり止めた方がいいと中断させたのはあなただったくせに。
とても良い人だったけど、顔と育ちがどうのこうのっていう理由でダメになった。
「……時間がないことも、分かってます」
年齢を賞味期限って例えられること、多くなったな。
分かりやすいけど、そのせいで余計に焦るんだからやめてほしい……
「……」
……って私
どうしちゃったの?
今まで ‟ この人 ” に対して
こんなにイライラしたり、疑問に思ったことなんてなかったのに……