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アンケートから生まれた Love story
第9章 花火
エレベーターから降りてきて、エントランスホールから続々と出てくる社員達。
ちょうど自動ドアを抜けた2人組の姿が、私の目に入った。
「タカくん!」
「……!」
「隠れて!」
後ろから彼の鞄を引っ張って、静止させて
すぐ側の支柱の影に一緒に駆け込む。
「なに、急に…」
「静かに!」
チラッと顔だけ出して、そーっと覗くと
役員フロアで見た時と同じ美男美女が、会話をしながら目の前を通り過ぎていく。
……帰りはいつもこの時間なのかな。
そうか。
私は朝早く出社して、割と定時で帰れるから今まで会わなかったのかも。
「しえりさん、要説明」
「あっ! ご、ごめん…」
「歩いているあの2人がどうかした?」
タカくんは躊躇なく体を柱から飛び出して、彼等の姿を見ている。
……この距離で、顔もバッチリ見ても気付かないってことは
やっぱりタカくんは彼のことを知らないのね。
「あれがしえりさんの言ってた、本当は優しい元チャラ男?」
「~~! な、なんで分かったの…」
「 ” センス抜群でキラキラ ” してるから」