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アンケートから生まれた Love story
第10章 軋み
その時
「……!」
電話をする手と反対側
テーブルに置いたバッグを掴んでいる私の左手に
秋の手がそっと重なった。
「(……どうした?)」
「……っ」
「(大丈夫?)」
……相手に聞こえないように、口を動かして
私を心配そうに見つめてくれて
……きゅうっと胸が締め付けられる。
『しえり。答えなさい。
今一緒に居るっていうのは、婚約した彼ね』
言葉を発せない私に、容赦なく続く尋問。
……でも
私は今、1人じゃないんだ。
『まだ一度も私に会わせてないわね。
出身も経歴も問題なかったのなら、早く連れてきなさいって何度も言ってるのに』
「………」
『あなたがちゃんと幸せの道へ、並んで歩いていける人物なのか。
ちゃんと私に認めさせなければ、許さないわよ』
違う、婚約者はもういない。
私が今、一緒に居るのは
こうして手を握ってくれているのは
『33歳にもなって、世間が何て言うか。
これ以上婚期を逃すなんて、みっともないったらありゃしない』
「……違う…」
『また私に恥をかかせることになるって、分かってるの…』
「違います!」