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アンケートから生まれた Love story
第10章 軋み
「秋……!」
ようやく自分の声が出た時には
周りが騒然として人集りが出来ていた。
駆け付けた救急隊員の、担架に乗せられた秋が
彼らに付き添われて離れていく。
「……ま、待って…っ」
震える足を動かして、なんとか追い掛けようとするけど
その姿が涙で見えなくなってしまう。
「……っ」
自分のことばかりで、ちっとも気付かなかった。
こんな私に
赤の他人だった私に
あんなにも優しく、手を差し伸べてくれたのに
「……秋…っ」
誰もが皆それぞれ、心の底に悲しみや苦しみがある
もしも
誰にも言えない、本人しか分からない
閉じ込めていた記憶を
私と母の軋みによって、呼び起こしてしまったのなら
「……っ ごめんなさい……」
“ 1人だなんて考えるな。
あんたを大事にしたいって思うのは、俺だけじゃない ”
秋の声が、こんなにも心に響いていて
だけど私の声は
この時意識を失った秋には、届かなかった ───