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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
「秋のお父さんが……暴力を……?」
質問する声も、絡ませた指も震えてきてしまって
だけど目の前の秋は穏やかな表情を変えなかった。
「そう。聞いても気持ちのいいものじゃねぇから
詳しく語るつもりはないけど……母も俺も、ストレスの吐口にされてて」
「……っ」
「 ‟ 国家政策に携わる上層部にいる ” が口癖で
自らの地位やキャリア組であることを、家の中で散々自慢してた。
……権力を振り翳す相手が
自分で選んだ女性と、自分が作った息子だけだっつーのに」
── 暴力の爪痕が、背中に残っていると秋が続けた。
後遺症として残ったのは外傷だけじゃなく
乱闘や混沌の中で、自分がその現場を目撃すると
パニック障害を発する精神的な部分もあって
……未だに治療方法が見つからないことも。
「今の環境で、仕事を続けたい自分の気持ちよりも
今の環境に居る人達に迷惑を掛けることの方が、大きかった」
去年から退職する意思を固めていたことも
秋は、ひとつひとつ丁寧に話してくれた。