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アンケートから生まれた Love story
第13章 逢いたい
「……秋は、お母さんと一緒に家を出ていったのね?」
‟ もしかして、タカくん料理するの? ”
‟ 映えるもんとか本格的なのは無理だけど。
俺の家片親だから、身に付いた ”
以前そんな会話を交わしたことを思い出して
そうだよって返事がくることを予測して、そう聞いたけど
秋は静かに首を振った。
「高校を卒業するまで実家に居た」
「……!」
「自分の意思で残ったんだ。父親の元に。
母親と職員の説得も、全部無視して聞かなかった」
「……ど、うして?」
「……自分の中で
どうしても拭えない不安があったから」
……拭えない不安?
正反対の答えに驚いたけど
でも、確かにさっきも ‟ 母親が出ていってから ” って言ってた……
「だけど」
秋の表情が変わる。
「その不安は、結局必要なかった。
俺が小学3年の夏に母が出ていってから……暴力が止まったんだ」
「……!」
「死んだように抜け殻になって
項垂れて、泣いて
……自分が追い出した母の名前を、寝言で繰り返す程に」