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アンケートから生まれた Love story
第14章 いつまでも、幸せに
─── 9月初めの土曜日。
正午を過ぎて、太陽がキラキラと輝く晴天。
東京は残暑が厳しく残っているけど
此処は暑さが和らいでいて
吹き抜ける風に乗って、磯の香りが漂ってくる。
「気持ちいいね、秋」
年配のご夫婦が営むという小さなカフェ。
大樹の木漏れ日が心地良くて、瞳を閉じた。
……この街のどこかに、秋のお母さんが居る。
それだけで、胸が切なくなる。
「なんだかずっとここに居てしまいそうね…」
「いや、行こう」
「……!」
「……ちゃんと分かってる」
その声で目を開けると
秋がかぶっていた帽子を外した。
「ありがとう、しえりさん。
俺1人だったら来れなかった」
「……!」
「……子供の頃は、密かに何度も試したんだ。
だけど毎回途中下車して、辿り着くことはなかったから」
「……っ」
「この駅で降りたことだけでも、俺には奇跡だ」