この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンケートから生まれた Love story
第3章 問答無用で引き受けろ
── 人の心を読む力を
蓮さんは本当に持っているのかもしれない。
その微笑みを見て
自然と強張っていた、肩の力が抜けた。
「……相談というより、報告のつもりでした」
一息置いて、背筋を伸ばす。
「今回、無理言って異例の3ヶ月遠征を希望したのは……」
「うん」
「辞める前の、最後の仕事にしようと意気込んだからです」
「……!」
「だから必ず結果に繋げたかったし
集大成って言うの程の立場でもないけど……自分の中で蹴りをつけたかった」
就職して10年も経っていない。
30歳を目前とした今、折り返し地点にも辿りついていない。
社会人としても人間としても、まだまだこれからの位置に居る。
それでも
何度も書いては捨てた退職届を
今度こそはと、出張前の2月、自分のデスクに入れておいた。
「現地で商談を終えた時も、帰りのフライト中も
今朝変な女に遭遇した時でも、その考えに変わりはないはずでした」
……そう、そのはずだったのに