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アンケートから生まれた Love story
第2章 漫画みたいな終わり方・始まり方
── 記憶の彼方に葬られていた、11年も前のワンシーンを
なぜ11年も経った今になって、急に思い出したかというと
今まさにこの瞬間が、人生で最大の窮地であると悟ったからだ。
「携帯も繋がらない。メールも届かない」
仕事終わりに夕食の食材を買って、マンションの部屋に戻ったら
彼の ‟ 痕跡 ” が跡形もなく消えていた。
「極めつけに、口座にお金が無い」
口に出して事実を確かめながら、残高¥33と表示された通帳を見つめる。
これは凄い。
傑作ものだ。
奇しくも33回めの誕生日を迎えた私への、盛大な嫌味。
「大・成・功っていうプラカードは?」
出てこないのね?
テレビカメラも無いのね?
いや、そんなの出されたところで結果は同じだけど
── つまり
「だ・ま・さ・れ・た」