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アンケートから生まれた Love story
第5章 スコール
「しえり!」
名前を呼ばれてハッと我に返る。
「聞こえてる? 大丈夫?」
パソコンのキーボードの上で、止まったままの両手。
視線を上げると、目の前の席で同期の奈々が笑っていた。
「なんか今週、ボーッとしてる日が多かったね。
しえりにしては珍しいわ」
……まいったな。
家でもこんな調子なのに、仕事にまで影響が出てしまうなんて。
気付いたら時計の針が夜の7時を指している。
あっという間に週末、そして終業の時刻を迎えた。
「ごめん奈々。私なにかミスした?」
「そうねって言いたいとこところだけど、全然」
椅子に寄りかかって、奈々は大袈裟に両手を広げた。
「むしろなんでこんなに完璧なのか教えてくれ。
前任の美和ちゃんも仕事出来る子だったけど、あんたは別格」
「………」
「自株の中枢から、ここに配属辞令が出た時は同期全員で驚いたっけ。
あれからもう1年経つって、時の流れは早いわ~」