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第5章 スコール

── 最近は海外にも積極的に進出し始めた、国内では大手に位置付いている。

多くのグループ会社をまとめる、設立の自株会社から
事業会社へ自ら異動希望を出したのは、私が初めてらしい。


「今更だけど、本当に何か問題起こしたわけじゃないのよね？」


パソコンの電源を落として、奈々がニヤニヤしながら聞いてくる。


「経営管理室から、生産管理って。
どう考えたって左遷としか思えないんだけどー」

「そんな言い方しないで。
このブランドが１番の稼ぎ頭よ。
何度も言うけど、その本社で働けるなんて栄誉なんだからね」

「はいはい、分かってますよー。
ただ気になるじゃない？ なんでわざわざって」

「……それは」



環境を変えて、普通になる為


って本当のことを言ったら、どんな顔をさせてしまうかしら。
同期入社の彼女にも、そんなことは言えなかったのに


‟ 人生の目標として掲げ、日々生きています ”


……どうして、あの人には伝えてしまったのだろう。