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第5章 スコール

高野秋と名乗った彼は、予想通りのスーパーエリートで
３ヶ月の海外出張から戻ってきたばかりという、私とは次元の違う世界にいる人だった。


「１年の半分は海外って……凄すぎるわ」
「今まではね。暫くは国内に居れる」


先月まで滞在していた国というのが、聞いたこともない場所だったので
年齢が29歳という追加情報を聞いて、グラスを落としそうになった。


「わ、若いとは思っていたけど、４つも歳下って…」
「なにその言い方」
「だって私なんてもう33歳になってしまいました」


今更だけど、やっぱりとんでもないことをしようとしているのね。
20代最後に、こんな年増の危ない女に目を付けられて。

私本人が言うセリフじゃないけど、哀れとしか言えない……


「たった４年だろ。
そこで差をつける意味が分かんね」


イケメンは回答までイケメンだけど
残念ながら世の中全員、そんな模範解答をするわけではないのだ。


なぜなら


「婚活サイトで、20代と30代が居たら
まず振るいに掛けられて落とされるのは、間違いなく後者なんです」