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二人の彼に囚われて【目覚め】~偽りの花嫁は真実の恋を知る~
第7章 二つの感情(おもい)の狭間で
扁額を見てからまた短い階(きざはし)を昇り、本堂内に入った。真正面に大きな黄金の観世音菩薩が安置され、両脇に脇侍の菩薩が祀られている。
王の今日の出で立ちはいつものお気に入りの蒼色のパジチョゴリである。帽子(カツ)をいつもより目深に被っているのは、顔を迂闊に見せないためだ。都を離れた辺境とはいえ、どこに人の眼があるか知れたものではない。用心するに越したことはないのだ。