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二人の彼に囚われて【目覚め】~偽りの花嫁は真実の恋を知る~
第9章 贈り物(プレゼント)

「だが、またも奇跡が起こったのだ。食い入るように蒼い薔薇を見つめていた私は、我に返って慌てて空を仰いだ。ーいつしか雪が止んでいた。先刻まであれほど叩きつけるように容赦なく降っていた雪も、風も一切が鳴りを潜め、辺りは不気味なほどに静まり返っている。私はおおと叫んだつもりだったが、恐らく、声を聞いた者がそこにいれば、獣の唸り声ほどにしか聞こえなかったに違いない。この時点で疲労は極限に達し、既に倒れ伏しそうであったが、一切を吹き飛ばすほどの衝撃が走った」

