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二人の彼に囚われて【目覚め】~偽りの花嫁は真実の恋を知る~
第9章 贈り物(プレゼント)

「無事に寺に辿り着いた僧は三日三晩、死んだように眠り続けた。四日目の朝、目覚めて自らの身に起こった奇跡を皆に話したそうだ。この記述には、僧の話を住職を初め誰もが信じなかったと書いてある。ゆえに、僧の体力の回復を待ち、数人で山に入ったものの、炭焼き小屋は確かに存在したが、件(くだん)の薔薇はついに見つからなかった。猛吹雪に逢ってから七日ほどが過ぎている。普通なら、薔薇が散っていたとしても、存在そのものが消えているなどということはない。だから、やはり皆は遭難しかけた僧が疲れのあまり見た幻覚にすぎないと結論づけたんだな」

