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第7章 二つの感情（おもい）の狭間で

　王を愛し始めたからといって、テギルを嫌いになったわけではない。テギルへの気持ちも変わらないのに、もう一人の男を好きになってしまった。父に隠れて読み耽っていた恋愛小説では、しばしば二人の男性への愛に思い悩む美しい姫君が出てきた。けれど、ミナは美しくもないし、どこにでもいる平凡な少女だ。そんな我が身が小説の主人公のように、よもや三角関係で悩むとは想像だにしなかった。