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MOTHER(マザー)
第1章 MOTHER(マザー)
孝二がそのようになった元凶(ガン)は、実母・秋月菜水(あきづきなみ・41歳)に全部ある。

孝二は、産まれた時から父親がいない…

孝二が菜水の胎内に宿る前に、菜水はダンナと離婚した。

菜水は、高校の時に好きになった直也(出会った当時大学院生・結婚した時30歳で大学の研究所にいた)にプロポーズされて結婚を決めた。

高校・大学の時の仲間たちと菜水の親類たちに祝福されて挙式披露宴を挙げたが、菜水の心変わり(個人的な都合)で直也と結婚するのをやめた。

それを苦に、直也は大学の研究所をやめてサラリーマンに転職した。

1年おきに更新の契約社員で、お給料は大学の研究所の時の半分に減った…

直也は、毎日毎日『研究所をやめて損した…』と言いながら与えられた仕事をしていた。

みかねた直也の両親は、菜水に対して直也の長兄・一磨(かずま)と結婚しろと命令を下した。

菜水は、直也の両親の命令に従って一磨と結婚したが、ものの一ヶ月でヤーメタで家出した。

その時、胎内に孝二を宿した。

そして、菜水はひとりぼっちで孝二を出産して、ひとりぼっちで孝二を育てた。

最初の数年間、菜水は孝二のためにしゃにむに働いた。

しかし、菜水の気だるい気持ちが原因で孝二の人生が狂った。

菜水は、パート仲間たちにケイマン諸島のリゾートホテルに投資する話を持ちかけてカネを集めた。

一攫千金を夢みて投資したのに、まんまとサギにひっかかった。

大金を著しく溶かしてしまった菜水は、取り返すためにギャンブルにてぇつけて大失敗をこうむった。

パート仲間たちと顔を合わせることがイヤになった菜水は、孝二を連れて広島市内へ逃げた。

その後、市内中心部にあるアパートに母子は身を寄せた。

菜水は、定職に就かずにギャンブルザンマイにのめり込んだ。

孝二は、学校に行かせてもらえなかった。

孝二の心は、大きく傷ついた…

孝二がそのようになった元凶(ガン)は、直也の家・多賀家にもあったと言う…

それは一体、なんであろうか?
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