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MOTHER(マザー)
第1章 MOTHER(マザー)

9
直也がラブホで人妻とイチャついていた頃であった。
家の居間では、しえ夫婦と浩文と由宇加の4人がいて晩ごはんを食べている。
テーブルの上には、由宇加が作った料理が置かれている。
竜太は、家族全員で知人のお孫さんのお遊戯会を見に行く予定を直也と浩文がヤクソクをホゴにしたことに腹を立てている。
食卓の雰囲気がどす黒くよどんでいる。
(ジリリリリリリリン…ジリリリリリリリン…)
そんな時であった。
居間の電話台に置かれているダイヤル式の黒電話のベルが鳴り響いている。
由宇加が電話に出た。
由宇加は、やさしい声で言うた。
「はい、多賀でございます…あっ、印刷工場の社長さんですね…どうかなされましたか?」
受話器の向こうで、社長さんがビービービービービービー泣きながら助けを求めている。
「えっ?揮発油(あぶら)をかやした(こぼした)?…明日出荷する印刷物(にもつ)に揮発油(あぶら)をかやしたのですか?…分かりました…主人にお伝えいたします。」
由宇加は、受話器を置いたあと過度にやさしい声で『社長さんが来てくださいというてたよ。』と浩文に言うた。
直也がラブホで人妻とイチャついていた頃であった。
家の居間では、しえ夫婦と浩文と由宇加の4人がいて晩ごはんを食べている。
テーブルの上には、由宇加が作った料理が置かれている。
竜太は、家族全員で知人のお孫さんのお遊戯会を見に行く予定を直也と浩文がヤクソクをホゴにしたことに腹を立てている。
食卓の雰囲気がどす黒くよどんでいる。
(ジリリリリリリリン…ジリリリリリリリン…)
そんな時であった。
居間の電話台に置かれているダイヤル式の黒電話のベルが鳴り響いている。
由宇加が電話に出た。
由宇加は、やさしい声で言うた。
「はい、多賀でございます…あっ、印刷工場の社長さんですね…どうかなされましたか?」
受話器の向こうで、社長さんがビービービービービービー泣きながら助けを求めている。
「えっ?揮発油(あぶら)をかやした(こぼした)?…明日出荷する印刷物(にもつ)に揮発油(あぶら)をかやしたのですか?…分かりました…主人にお伝えいたします。」
由宇加は、受話器を置いたあと過度にやさしい声で『社長さんが来てくださいというてたよ。』と浩文に言うた。

