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愛妻ネトラレ 久美子
第10章 短期バイトのカワイイ男子高校生
1ヶ月は、アッという間に過ぎさった。

最初は頼りなかった少年も、2週間ほどで仕事を覚え、久美子がフォローに入る回数も激減していた。
休憩時間がかぶることも多かった為、少年(神谷 隆太)と久美子は色々な話もし、それなりに仲も良くなっていった。

『バイト最終日、送別会やってもらえますかね』ある時、休憩中に神谷少年が無邪気に訊いてきた。
『送別会~?短期のバイトだしね~。ぶっちゃけ無いんじゃないかな~。ってか未成年でしょ?ジュースで乾杯?』笑いながら答える久美子に、神谷少年は『そっか…。そうですよね…』と寂しそうな笑顔を見せる。
寂しそうな表情をされると、久美子も悪いことをしたかのような気持ちにさせられてしまい、『うぐッ』と胸が痛くなる。

『ま、まぁ私で良ければ送別会というか、食事くらいは奢ってあげるけど』フォローするつもりで久美子が言う。
『本当ですかッ!やったぁ』神谷少年は飛び上がりガッツポーズでもしそうな勢いで、喜び顔を輝かせる。
『アハハッ』久美子は笑いながら、やっぱり無邪気な少年ね、と心の中で微笑むのだった。

そして、神谷少年の短期バイト最終日。
あれだけ楽しみにしていたであろう、神谷少年はバイトに来なかった。
チーフに聞くと、休むという連絡もこなかったらしい。
パートのおばちゃん達の中には、『やっぱり若い子は無責任だねぇ』などと心ない事を言う人もいたが、久美子には神谷少年がそんなことを平気でするとは、どうしても思えなかった。

パートの仕事帰り、久美子は神谷少年の家に立ち寄ってみることにした。
『ここか…。かなり、立派な家だよね』
久美子は独り呟く。
塀の表札には間違いなく「神谷」と書かれている。

ピンポ~ン
チャイムを押し、しばらく待つとガチャッと玄関のドアが開き、神谷少年がパジャマ姿で現れた。
『えッ?く、久美さん?』この頃には、少年は親しい人達が呼ぶ久美さんの愛称で久美子を呼んでいた。
驚いた表情をしている。

『ど、どうしたんですか?』と神谷少年。
『それはこっちのセリフよ、バイト無断で休んでどうしたの?体調悪いの?大丈夫?』久美子は心配そうに尋ねる。息子を心配する母親のようだ。

『今朝から微熱が出て…。こんな時期だから、出勤しても迷惑かけてしまうと思って…』申し訳なさそうに、神谷少年が言う。

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