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瀬音とボクとよしみくん
第24章 有貴くん⑤ 再会
「ま、また、会えるよね。今度、もう一度だけ、デートを、してくれませんか」
そんな台詞もない。
純ちゃんに向けて言った。
少し離れた純ちゃんに、大声で。
「……え? デート? 舞踏会に? ということかしら……」
純ちゃんの返事をまだ聞いてないのに、先生がついに舞台上に上がってくる。
純ちゃんは、笑顔でにっこり笑うと、先生に逃げるように走り出して行った。
舞台の脇ではなく、舞台をおりて、客席の中を駆け抜けていく。
ドアのところで振り返り、
「じゃあね~、みんなぁぁ、ありがとうぅ」
純ちゃんの声が会場中に響き渡ると
今日最大の歓声が湧き起こる。
ストーリーはつながっていたのだろうか。
むちゃくちゃな終わり方だが
純ちゃんがいなくなったあとも、しばらくは熱気が渦巻いていた。
あぁ、なんてしあわせな瞬間だったろう。
会場中のみんなが思ったことだろう。
でも、ただ一人、王女の正体に気付いた俺が一番だ。
台本なんか無視した、めちゃくちゃの流れだったのに、それは学校の歴史上最高の劇になった。
いや、俺の人生の中で最高の瞬間だった。
そんな台詞もない。
純ちゃんに向けて言った。
少し離れた純ちゃんに、大声で。
「……え? デート? 舞踏会に? ということかしら……」
純ちゃんの返事をまだ聞いてないのに、先生がついに舞台上に上がってくる。
純ちゃんは、笑顔でにっこり笑うと、先生に逃げるように走り出して行った。
舞台の脇ではなく、舞台をおりて、客席の中を駆け抜けていく。
ドアのところで振り返り、
「じゃあね~、みんなぁぁ、ありがとうぅ」
純ちゃんの声が会場中に響き渡ると
今日最大の歓声が湧き起こる。
ストーリーはつながっていたのだろうか。
むちゃくちゃな終わり方だが
純ちゃんがいなくなったあとも、しばらくは熱気が渦巻いていた。
あぁ、なんてしあわせな瞬間だったろう。
会場中のみんなが思ったことだろう。
でも、ただ一人、王女の正体に気付いた俺が一番だ。
台本なんか無視した、めちゃくちゃの流れだったのに、それは学校の歴史上最高の劇になった。
いや、俺の人生の中で最高の瞬間だった。