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瀬音とボクとよしみくん
第24章 有貴くん⑤ 再会
純ちゃんは走って、舞台から去ろうとする。


が、何故か、引き返してくる。


「王子様に、また会えて嬉しかったよ」


「え?」


それは台詞じゃない?


驚いて動けない俺に、純ちゃんはキスをした。


自然な流れでキスされるまで気付かなかった。


キスをしたあと、純ちゃんはにっこり笑った。


観客は再び沸き立つ。


「あ、待って……忘れ物、ハンカチ……」


「ハンカチ?」


本当は靴なのに。


俺はさっきのハンカチを渡そうとするが、ポケットからもう一枚だす。


「さっきのと、それと……もう一枚。君が部屋に忘れていったもの」


「え? 部屋? ハンカチ?」


純ちゃんは少しびっくりしたみたいだ。


「ずっと持ってたんだ」


「ずっと?」


「あぁ、俺のお守りなんだ。ずっと」


「あ、ありがとう。部屋ではなく、森の中の小屋で、ですね?」


「え、あぁ、小屋に」


「……ま、待ちなさい」


「あぁ、急がないと」


あぁ、純ちゃんが行ってしまう……
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