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瀬音とボクとよしみくん
第27章 女子校潜入▽
「そっか、一緒のレースじゃ戦えないのか……でも、それでも泳ぎたい……そして、もしも、ボクの泳ぎを見てもらえたら」
「うん、申し訳ないけど、それも無理」
「えぇ? なんで? 確かに一回戦負けは確実で、瀬音くんが見てくれるわけないかもだけど、それでも……」
「ごめんね、だから、大会に出るには……ある一定のね、速さがないとね……」
「遅すぎるの? じゃあ、あとどれくらいすれば?」
「あと、どれくらいって? う~ん、え~」
ゆかりちゃんは口を開けたまま、言葉が出てこない。
「わかったよ。絶対無理なレベルなんだね。でも誰でも出られるものじゃないの?」
「誰でも、ではないわね」
「そんな……大会にも出られないなんて、どうしよう……」
「う~ん、まぁ、記録会なら?」
「記録会?」
「標準記録に達成しているかどうか試すの。いわば、予選の予選ね」
「それには出られるの?」
「まぁ、記録会にはね。でも、大会とは別日に行われるし、大会とはまったく別もので、ほとんど誰も見てないわよ」
「みんな出るじゃないの?」
「みんな、というか、ほとんど1年生だけどね。あなたは去年の記録がないから」
「じゃあ、その記録会で、なんとか、標準記録を達成しなきゃね」
「……まぁね」
それが、どんなに無謀なことかは、ゆかりちゃんの反応でわかった。
やっと泳げるようになったボクには大会の出場資格すらないなんて。
ここまでやってきたのに、瀬音くんと戦えないどころか、会えないなんて。
無駄だったのかな。
でも
それでも、いい。
瀬音くんのいる場所に少しでも、近付けるだけでも。
「うん、申し訳ないけど、それも無理」
「えぇ? なんで? 確かに一回戦負けは確実で、瀬音くんが見てくれるわけないかもだけど、それでも……」
「ごめんね、だから、大会に出るには……ある一定のね、速さがないとね……」
「遅すぎるの? じゃあ、あとどれくらいすれば?」
「あと、どれくらいって? う~ん、え~」
ゆかりちゃんは口を開けたまま、言葉が出てこない。
「わかったよ。絶対無理なレベルなんだね。でも誰でも出られるものじゃないの?」
「誰でも、ではないわね」
「そんな……大会にも出られないなんて、どうしよう……」
「う~ん、まぁ、記録会なら?」
「記録会?」
「標準記録に達成しているかどうか試すの。いわば、予選の予選ね」
「それには出られるの?」
「まぁ、記録会にはね。でも、大会とは別日に行われるし、大会とはまったく別もので、ほとんど誰も見てないわよ」
「みんな出るじゃないの?」
「みんな、というか、ほとんど1年生だけどね。あなたは去年の記録がないから」
「じゃあ、その記録会で、なんとか、標準記録を達成しなきゃね」
「……まぁね」
それが、どんなに無謀なことかは、ゆかりちゃんの反応でわかった。
やっと泳げるようになったボクには大会の出場資格すらないなんて。
ここまでやってきたのに、瀬音くんと戦えないどころか、会えないなんて。
無駄だったのかな。
でも
それでも、いい。
瀬音くんのいる場所に少しでも、近付けるだけでも。