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瀬音とボクとよしみくん
第39章 よしみくん
そして、それ以来、瀬音くんとはずっと気まずいまま。
「なになに? 一人なの? 瀬音とケンカでもした?」
「あ、うん、まあ」
「本当に? 珍しい~」
一人で教室に座っていたら、同級生の女子が聞いてきた。
「何が原因? 相談のるよ」
女子はボクの隣に座った。
ぴったりとくっつくように。
言葉とは裏腹に、顔は好奇心旺盛に、ニヤニヤしている。
「大丈夫だよ、大丈夫」
……なのかな?
今までケンカなんかしたことをないのに。
「あ、それより、桜川良実って子、知ってる?」
「なになに? うちの学生?」
「うん、たぶん」
「へぇ~、その子が原因?」
なにを勘違いしたのか、女子はしたり顔に。
「違うって、ただ探してるの」
「ただ?」
「うん」
「う~ん、知らないかな。山田良美って子ならうちのサークルにいるけど。あ、でも、インカレサークルだから、うちの大学じゃないや」
「その子は女子?」
「そうだけど」
「そっか、ありがと」
女子は、まだ勘違いしているような感じだけど。
ボクはそれで、その会話は終わりにして、別の会話へと移った。
そのあと、瀬音くんと仲直りもできず、良実くんも見つけられず、1ヶ月が過ぎ春休みに。