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第8章 天秤にかける選択

「その気、って」

「不倫」

「え、ふりん？…あっつ！」

息を吹きかけ吹きかけ、多少は適温になったであろうコーヒーを恐る恐る飲もうとしていた玲那は、舌先に走る鋭い痛みに声を上げる。

日に二度目の失敗に、玲那は泣きたくなってしまう。

氷入りの水を急いで口に含み、どうにか被害を最小限に収める努力をする。

暫し黙って火傷に耐えていれば、熱さなどものともしない美祈が涼しい面持ちでコーヒを啜る。

「店長さん、結構イケメンだったよね。昔の恋が再燃しちゃうのも分からないでもない」

許されない行為をする前提で話を進める美祈を、玲那はストップさせた。