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乳房星(再リフォーム版)
第55章 メモリーグラス・その2
(チリリリリン…)

居間に置かれている黒電話が鳴っている。

4歳の次女が受話器を上げてお話しをした。

「もちもち…小関でちゅ…」

受話器ごしにいる六郎は、切迫詰まった声で言うた。

「もしもし…(たつろうさんの次女)ちゃん、尾鷲のジイジだよ。」
「尾鷲のジイジね。」
「すまんけど、大急ぎでママ呼んでくれるかなぁ~」

六郎の言葉に対して、(たつろうさんの次女)ちゃんはむじゃきな声で六郎に話した。

「あのねジイジ、きのうね、幼稚園でこんなことがあったのよ。」

六郎は、ものすごく困った声で(たつろうさんの次女)ちゃんに言うた。

「(たつろうさんの次女)ちゃん、ジイジはあせっているのだよぉ…大急ぎでママ呼んで!!」
「(ワガママ声で言う)ヤダ!!お話し聞いて!!」
「それはまた今度にしてや…」
「ヤダ!!」
「ジイジはあせっているのだよぉ~大急ぎでママ呼んで!!」

その時であった。

電話中の六郎に、地区の若者(30歳男性・全農の職員)がものすごい血相で詰め寄った。

「コラワレ!!コラといよんのが聞こえんのか!?」
「ああ、(4軒となりの家の息子さん)…どないしたんで?」
「どないしたんでじゃなかろがボケ!!いて回すぞ!!」
「ああ、ちょっと今は取り込んでいるからまた今度にしてくれるかなァ…」
「オドレどついたろか!?」

(ドカッ!!)

男性は、右足で六郎をけとばして倒した。

「なにするんだよぅ~」
「オドレがまた今度また今度といよるけんどついた!!」
「なんで私がどつかれなきゃならんのぞ~…私にどなな落ち度があるのかなぁ~」
「落ち度があるけんけつった!!オドレがよめはんの世話をしたろかと言うけん引き受けたけど、待たされてばかりいるけん怒っとんや!!…また今度また今度また今度また今度また今度…あんたの言うまた今度の意味がわからへんねん!!」

六郎は、男性の前で必死に命乞いをした。
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