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乳房星(再リフォーム版)
第56章 ブルージーンズメモリー
「ゆりこ…分かってくれよぅ~」
「はぐいたらしいわね!!ゆりこになにを分かれと言いたいのよ!?」
「オレは、大学の研究所に行きたいのだよぅ~」
「やかましい浪費魔!!お酒をのむこととマージャン打つこととフーゾクでやらしい遊びをすることがお仕事だというたわね!!」
「ゆりこ、総長に気に入られないと大学の研究所に行けないのだよぅ~ああ!!」

(ドカドカドカドカドカドカ!!ガシャーン!!)

怒り狂ったゆりこは、テーブルの上に置かれていた料理をてつろうに投げつけたあと、平手打ちでてつろうの顔を10回叩いて、背中を向けた。

てつろうは、なさけない声でゆりこに言うた。

「ゆりこ…なあ、ゆりこ~」
「甘えないでよ!!あんたのお人よしの性格はリョーシンソックリね!!」

イスから立ち上がったゆりこは、冷蔵庫の中からアサヒスーパードライの500ミリリットル缶2つを取りだした。

つづいて、戸棚からカルビーポテトチップスの大きめの袋を取りだした。

再びイスに座ったゆりこは、缶ビールを一気にゴクゴクのんで、ポテトチップスをバリバリ食べていた。

ゆりこにボコボコにやられたてつろうは、声を震わせて泣いた。

「ゆりこ…信じてくれよぅ~…うううう…総長に気に入られないと大学の研究所に行けんのや…もう一度…大学の研究所で研究したいよぅ~…ゆりこはオレに研究所へ行ってほしいとは思わないのかよぅ~」

てつろうに背中を向けているゆりこは『あんた女々しいわよ…』とつぶやきながらポテトチップスを食べていた。

時は、朝7時半頃であった。

ところ変わって、尾鷲市のたつろうさんの実家にて…

大広間に3・5世帯の大家族が集まって朝ごはんを食べていたが、食卓の雰囲気はどす黒く淀んでいた。

逸郎さよこ夫婦と兼次が家出した。

兼次が3月に発生した地下鉄日比谷線の車両追突事故で亡くなった。

逸郎さよこ夫婦から連絡がないので困っている…

その時であった。

「もう食べん!!」

和子がごはんを残して食卓から出ていった。

つづいて、たけろう由芽夫婦がごはんを残して食卓から出ていった。

みつろう優香夫婦と政子もそれにつづいて食卓を出た。

ひとり残された六郎は、ボーゼンとした表情で周囲をみわたした。

それから数秒後、白ごはんにお茶をかけて茶漬けにして食べていた。
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