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乳房星(再リフォーム版)
第67章 みずいろの雨・その2
時は夜7時過ぎのことであった。

(ドザー!!)

雨は夕方頃にいったん小康状態になったが、夜の初め頃に再び雷を伴った非常に激しい雨が断続的に降りだした。

そんな中で、たつろうさんの実家の大広間に家族5人が集まっていた。

テーブルの上には、優香が作った料理がならんでいた。

今夜の献立は、たけろう由芽夫婦の好物のアワビの煮物である、

しかし、家族5人はまだ晩ごはんを食べていなかった。

優香がたけろう由芽夫婦の友人知人の家に一軒ずつ電話をかけているので、時間が長びいていた。

たけろう由芽夫婦の友人知人は、尾鷲市内と周辺の熊野市~紀伊長島町だけしかいない。

それ以外の三重県内と県外には友人知人はいないので、家族はひどく心配している。

受話器を置いた優香は、大きくため息をつきながら大広間に入った。

政子は、心配げな声で優香に言うた。

「どうだった?」
「たけろうさんと由芽さんはいてへんかった。」
「おらんかったのね…困ったわねぇ~」
「もういいよ…ごはん食べよう。」

優香は、おひつに入っている白ごはんを茶碗につぐ。

政子は、ややあつかましい声で言うた。

「たけろうと由芽さんは、なにを考えて家を出たのかしら…なにもマダガスカルへ行かなくても作物はここでも作れるのに…」

和子は、政子にハンロン口調で言うた。

「たけろうと由芽は、バニラの栽培にチャレンジしたいからマダガスカルへ行ったんや。」
「バニラ…」
「せや…洋菓子(おかし)の香料・バニラエッセンスの原料よ。」

それを聞いた政子は、あきれ声で言うた。

「なにもバニラじゃなくても、作物だったらここでも作れるのよ…由芽さんの方も、パート先のクリーニング店の人がひどく心配しているのに、なんでもったいないことしたのか…」

つらそうな声で言うた政子に対して、みつろうは『かあさん、やめろよ。』とあつかましい声で言うた。

政子は『そうは言うけど…』とつらそうな声で言うてからこう言うた。
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