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乳房星(再リフォーム版)
第76章 九月の雨・その2
(ゴロゴロドザー!!)

時は、夜9時過ぎだったと思う。

取引先の会社に出向となった英彦は、残業を終えて帰宅していた。

その時に、1時間に80ミリの雷を伴った猛烈な雨が降り出した。

日本の南の海上に台風から流れてくる湿気によって、紀伊半島に停滞している秋雨前線の活動がより活発になったことによって生じた大雨である。

(ブーッ、ブーッ、ブーッ、ブーッ!!)

遠くから強烈なブザー音がけたたましく鳴り響いた。

夜8時59分ごろに三重県南部に大雨警報、たつろうさんの住んでいる地区に避難勧告が発令された。

(たつろうさんの実家がある場所は、地すべりの危険度が高い上に、近くに土石流の危険度が高い渓流がある)

ずぶ濡れになっている英彦は、中央町にある中村山公園にいた。

その時であった。

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

突然、白のブラウス1枚でずぶ濡れの姿の若い女性が泣き叫びながら走っていた。

この時、顔に肌色のストッキングをかぶった変質者が追いかけてきた。

とっさになった英彦は、あしもとにあった鉄パイプで変質者の顔を殴りつけた。

(ガーン!!)

「グワアー!!」
「ワーッ!!ワーッ!!」
「グスングスングスングスングスングスングスングスングスン…」

襲われた女性は、その場に座り込んでグスングスンと泣きじゃくった。

女性の話しによると、近くの建築現場で雨宿りをしていた時に、変質者が突然やってきて、その場に女性を倒してスカートを無理やり脱がされたと言うた。

女性は必死に抵抗したあと、英彦がいる公園に逃げ込んで助けを求めた。

その時に英彦と出会った。

女性は、ジャスコ(イオン)の女性従業員さんの貞光果那(さだみつかな・27歳)である。

英彦は、鉄パイプで激しい力を込めて変質者の男を殴りつけた。

変質者の男は、その場で死亡した。

さて、その頃であった。

たつろうさんの実家の近辺にある渓流で土石流が発生する危険性が高まったので避難指示が発令された。

しかし、2・5世帯の家族たちは避難しなかった。

2・5世帯の家族たちは『うちは大丈夫』と言うてノンキにかまえていた。

危ないからはよ避難せえよ!!
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