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乳房星(再リフォーム版)
第5章 そして、神戸・その2
そんな時であった。

無人駅の待合室に、クリーム色のワンピ姿の施設長さんがあわてた表情でやって来た。

「よーくん!!よーくん、大丈夫!?」

施設長さんは、5つの私を抱き抱えて保護したあと、駅前に停まっているタクシーに乗り込んだ。

タクシーは、国鉄塩尻駅へ向かって走った。

ところ変わって、タクシーの中にて…

5つの私は、施設長さんに抱きついてワーワーワーワーと泣き叫んでいる。

施設長さんは、泣いている私を抱きしめてなぐさめている。

「よーくんよしよし…よしよし…よーくんつらかったのね…よしよし…」

昼3時半頃に、タクシーは国鉄塩尻駅に着いた。

5つの私は施設長さんと一緒に大阪行きの特急しなのに乗って、信州から逃げだした。

夜7時半頃、列車は終点大阪駅に到着した…

その後、阪神電車の急行列車に乗り換えて青木(おおぎ)駅まで行った…

青木駅に着いたあと、フェリー連絡バスに乗り継いで神戸フェリーセンターへ向かった…

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

日付が変わって、8月8日の深夜0時過ぎであった…

2人は、高松行きのジャンボフェリーに乗って旅を続けた…

5つの私は、施設長さんと一緒に一等客室にいた…

施設長さんは、ベッドの上でスヤスヤと眠っている私をもうしわけない表情でみつめながらつぶやいた。

よーくん…

つらい思いをさせてしまって、ごめんね…

先生…

おとつい…

結婚式場から逃げ出したの…

先生…

結婚…

やめたわ…

よーくんのそばにいる…

よーくん…

四国に着いたら…

身体(からだ)を休めようね…
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