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乳房星(再リフォーム版)
第105章 シングル・アゲイン

「ゆりこは…人魚姫さんの娘として生まれてきたのよ。」
「人魚姫…ウソや…そんなんウソや…」
けんちゃんは、そんなんウソやとゆりこに言うた。
ゆりこは、悲しげな声でけんちゃんに言うた。
「ゆりこは、ホンマに人魚姫さんの娘なのよ…せやけん、海の底に沈んでも…なんべんも生き返ったんよ。」
けんちゃんに、自分が人魚姫さんだと言うことを打ち明けたゆりこは、くすんくすんと泣きじゃくった。
ゆりこは、人魚姫の娘だった。
それは、私・イワマツが生まれてくる1年4ヶ月前の1970年7月末頃だったと思う。
四国沖を航行していたおとぎの国の大型帆船が猛烈なシケによって難破した。
当時、920ヘクトパスカルに相当する台風が西日本~東日本の太平洋側へ向かって北東へゆっくり進んでいた。
120ノット(風速60メートル・瞬間的に80メートル超)に相当する暴風で、波の高さは10メートル超ときわめて危険な状態であった。
ゆりこのマァマ(人魚姫さん)は、おとぎの国の王子さまを助けた。
しかし、ゆりこのマァマはよその国のお姫様に王子さまを取られたことを苦に海に堕ちて、水の泡になった。
…と思ったら、1970年11月頃に宍喰浦(徳島県海陽町)の海水浴場に流れ着いた。
一命を取り留めた人魚姫は、翌年5月に宍喰浦の小さな診療所でゆりこを出産した。
…と言うことであった。
そうだったんや…
ゆりこからの告白を聞いたけんちゃんは、強烈なショックを受けた。
「知らなんだ…今まで、そななこと知らなんだ…」
「けんちゃんごめんね…ゆりこ、けんちゃんと結婚できんのよ…かといって、てつろうさんとも結婚できんし、他の男の人とも結婚できんのよ…」
「そんな…ほな、ゆりこちゃんは誰が好きなんで!?」
「(泣きながら言う)ゆりこが…本当に結婚したい男の子は…よーくんなの…」
「(つらそうな声で)そんな…そんなんウソや…」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
けんちゃんにホンマの気持ちを伝えたゆりこは、くすんくすんと泣いた。
「人魚姫…ウソや…そんなんウソや…」
けんちゃんは、そんなんウソやとゆりこに言うた。
ゆりこは、悲しげな声でけんちゃんに言うた。
「ゆりこは、ホンマに人魚姫さんの娘なのよ…せやけん、海の底に沈んでも…なんべんも生き返ったんよ。」
けんちゃんに、自分が人魚姫さんだと言うことを打ち明けたゆりこは、くすんくすんと泣きじゃくった。
ゆりこは、人魚姫の娘だった。
それは、私・イワマツが生まれてくる1年4ヶ月前の1970年7月末頃だったと思う。
四国沖を航行していたおとぎの国の大型帆船が猛烈なシケによって難破した。
当時、920ヘクトパスカルに相当する台風が西日本~東日本の太平洋側へ向かって北東へゆっくり進んでいた。
120ノット(風速60メートル・瞬間的に80メートル超)に相当する暴風で、波の高さは10メートル超ときわめて危険な状態であった。
ゆりこのマァマ(人魚姫さん)は、おとぎの国の王子さまを助けた。
しかし、ゆりこのマァマはよその国のお姫様に王子さまを取られたことを苦に海に堕ちて、水の泡になった。
…と思ったら、1970年11月頃に宍喰浦(徳島県海陽町)の海水浴場に流れ着いた。
一命を取り留めた人魚姫は、翌年5月に宍喰浦の小さな診療所でゆりこを出産した。
…と言うことであった。
そうだったんや…
ゆりこからの告白を聞いたけんちゃんは、強烈なショックを受けた。
「知らなんだ…今まで、そななこと知らなんだ…」
「けんちゃんごめんね…ゆりこ、けんちゃんと結婚できんのよ…かといって、てつろうさんとも結婚できんし、他の男の人とも結婚できんのよ…」
「そんな…ほな、ゆりこちゃんは誰が好きなんで!?」
「(泣きながら言う)ゆりこが…本当に結婚したい男の子は…よーくんなの…」
「(つらそうな声で)そんな…そんなんウソや…」
「くすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」
けんちゃんにホンマの気持ちを伝えたゆりこは、くすんくすんと泣いた。

