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乳房星(再リフォーム版)
第9章 積木の部屋
おまわりさんと私がああでもないこうでもないとグダグダ言い合いをしている時、端にいた駅員さんが止めに入った。

私は、駅員さんに切迫詰まった声で『入管に電話してください。』とお願いした。

駅員さんは、しんどい声で『あ~分かった分かった。』と言うて、私を鉄道警察へ連れてゆこうとした。

そんな時であった。

トナカイ色のサマーコートを着た晶姐はんがやって来た。

「よーくん、よーくん!!」
「晶姐はん。」

私のもとへやって来た晶姐はんは、私をギュッと抱きしめた。

「よーくん…無事でよかった…晶が来たからもう大丈夫よ…」

晶姐はんは、おまわりさんと駅員さんに『この子は私の知人の息子さんです…』と言うて、身元引受人を申し出た。

その後、晶姐はんは私の手を引いて旅に出た。

(ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

晶姐はんと私は、荒尾駅から特急有明に乗って博多駅へ向かった。

博多駅から新幹線こだまに乗り換えて新下ノ関駅へ向かった。

新下ノ関駅から山陽本線の電車に乗り換えて下ノ関駅へ向かった。

昼2時半頃に、晶姐はんと私は下ノ関駅に到着した。

そして、夜7時45分ごろ…

(ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ、ボーッ…)

晶姐はんと私は、下ノ関港国際ターミナルから出航した関釜フェリーに乗って旅に出た。

ゆめいろ市の高校をやめる手続きは、晶姐はんの知人の弁護士さんを通して行われた。

晶姐はんは、私にもうなんの心配もいらないよとやさしく言うた。

私は、もう一度ここから人生をやり直すのだと言い聞かせながら港夜景をながめていた。
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