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乳房星(再リフォーム版)
第132章 北の宿から
10月6日の朝方であった。

私は、気がついたら大阪西成まで来ていた。

場所は、大阪西成区の萩之茶屋の公園にて…

もず唱平先生の作詩の『釜ヶ崎人情』の歌で登場するドヤ街である。

15の私は、ぼんやりとした表情で公園の周囲を見渡した。

公園には、日雇い労働者のオッチャンたちがたくさん集まっている。

オッチャンたちは、上の人の誘導でマイクロバスにのせられたあと、各工事現場へ送られた。

日当は、5000から6000円くらいであった。

私は、どうしてこのドヤ街へ来たのか…

15の私にとって、釜ヶ崎で暮らすことは苦痛だとは想わないのか?

そんなことを考えるだけでも頭が痛い…

その日の夜、私は近くにある簡易宿に泊まることにした。

一泊・800円であった。

私が入った部屋は、ふとん1枚がすっぽりと入るせまくるしい部屋だった。

けれど、オッチャンたちがはした金を使ってここで寝泊まりしていることを想えば、ねるとこがあるだけでもありがたく想わないと…

私は、何度も心に言い聞かせた。

ふとんに入った私は、ぼんやりとした表情で愛用のソニーのケータイラジオでラジオを聴いていた。

深夜1時頃であった。

イヤホンからラジオ大阪で放送されていたオールナイトニッポンが流れている。

MCのとんねるずがリスナーが投稿したハガキを読んだあと、ワケのわからへんグダグダトークを繰り広げていた。

学生カップルのコイバナだの、ガッコーであった話題など…

15の私にはネコにコバンだ…

とんねるずが母校の帝京高校を自慢げにベラベラしゃべくりまくっているのを聴いた私は、頭にきたけんラジオの電源を切った。

なんやねん一体もう…

自分たちが卒業した母校をほこらしげにしゃべくって、よその学校をボロクソに言うなんてサイテーだ…

私は、そんなことを想いながら3時前まで腹を立てていた。

3時前に、ラジオの電源を入れた。

イヤホンから流れている番組は、走れ歌謡曲(文化放送)に変わっていた。

イヤホンから、泣き歌ばかりが流れていた。

『哀しみ本線日本海』『すずめの涙』『そしてめぐり逢い』『舟唄』『おもいで酒』『想い出迷子』…

私は、ふとんの中にもぐって泣きながら歌を聴いていた。
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