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それでも僕は
第14章 14★








佳代さんが亡くなってから数週間経った。ケイが放心状態のまま元に戻らなかったどうしようと俺の不安は少しづつ前を向き始めたケイを見て晴れていった、俺は学校と病院を行き来する生活を送る。
「じゃあ行くよ」
「またね、ゆう」
正直、ケイが退院するまで学校休んでそばにいるか迷ったが。ケイが『もう大丈夫だから』と学校に行くように進めたから不本意だが学校と病院を行き来している。ようやく退院のメドが付きつつあるケイ。一時期はどうなるかと思ったがなんとか立て直せて本当に良かった。
「……けど、佳代さんも相当無念だろうな、手術を受けないとどんなに保ってもあと2、3年の命なんですもの」
「……えぇ、ケイくんの手術費を払えるのは佳代さんだけだったのに」
エレベーターに向かう途中…ナースステーションの看護師の会話を偶然耳にしてしまう。少し浮かれていた俺の意識が急に脱落する。佳代さんが亡くなったことは俺が考えていたことよりずっと深刻だった。分かってたはずだ、佳代さんが亡くなったことはどういうことか…それなのに俺は思わずその現実から目を背けてしまった。







「はあ…」
俺は当てもなくぶらぶらと夜の街を歩く。これまで目を背けていた現実が俺にのしかかる。どうすればケイの手術費を稼げるだろうか?ぐるぐると考える。
「よう!!優馬!!久しぶり!!」
俺を見かけた佐久間がずかずかと俺に近付いて来る。
「佐久間さん…どうしてここに」
「……俺はここらへんに住んでんだけど…どうした?優馬?」
「……え?」
佐久間が俺の頬を指す、何だろうと頬を触れると俺は自分が泣いていることに気付いた。
「……とりあえず俺の住んでるマンション近いし、ちょっと来いよ」
佐久間は俺の腕を掴み、住んでいるマンションに俺を招き入れる。
「はい、コーヒー…砂糖とミルクはいる?」
「必要ないです」
佐久間がふたり分のコーヒーを淹れる。挽きたてのコーヒーの香りが不安で押し潰されそうな俺の気持ちを幾分軽くする。
「…で?なんで泣いていたんだ?」
「それは…」
佐久間は俺の向かいのソファーに座る。なぜ泣いていたのかを聞かれた俺は事情を説明する、佐久間は黙って俺の話を聞く。
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