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それでも僕は
第7章 7★





「そういう彩木くんこそ顔色悪いけど大丈夫?」
「……え?」
彩木くんは驚き目を瞠った。今まで一点の曇りもなかった彩木くんの笑顔が揺らぐ。
「……はは、ちょっと検査の結果が悪かったから」
無理して笑う彩木くんに俺は頭を掻いた。俺は着ていたジャンパーを病衣で寒そうな彩木くんに被せ抱き締める。彩木くんが震えていることに俺は初めて気付いた。
「み、南さん…?」
「……もう大丈夫だからな?」
彩木くんも俺の背中に手を伸ばす。俺と彩木くんはしばらく抱き締め合う。周囲の目も憚らずに身体を密着させる。両親が亡くなって平静を装っていたが心の中ではずっと泣きたかった。お互いの体温で慰め合う俺と彩木くん。
「優馬…そろそろ俺のマンションに行こうか?…」
「彩木くん、そろそろ部屋に戻って休んで…」
優斗さんと看護士が抱き合っている俺と彩木くんを見て固まる。俺と彩木くんはここでやっち
と我に返り慌てて身体を引き離す。優斗さんと看護士がぽかんとしているのを見て俺と彩木くんは乾いた笑い声を出す。
「…少し落ち込んでいるんじゃないかと思ったけど杞憂だったみたいだね」
顔を真っ赤にしている俺と彩木くんに優斗さんは苦笑した。
「じゃあ俺はもういくよ、彩木くん」
「う、うん…」
優斗さんと看護士の生暖かい視線に耐え切れず、早口で彩木くんに別れを告げる。






これが俺とケイの出逢いだった。もしケイと出逢うことがなければ俺は躰を売ることしかった。でも後悔はしていない。俺はケイことをなにもかも犠牲にしても守りたいと思うほど愛しているのだから…。











両親の葬式を終えて俺は優斗さんのマンションに引っ越した。優斗さんも海外出張から戻ったばかりでしばらくてんてこまいだったが1週間経ってようやく落ち着いた。
「…いつも早いな…優馬」
「もう少し朝ご飯できますよ」
仕事で忙しい優斗さんに変わり俺が家事を担っている。俺は味噌汁とご飯を装った。
「…家事をやってくれるのはありがたいが無理してないか?」
「元々両親が仕事で忙しかったから家事はほとんど俺がやってましたから大丈夫です」
朝から手の込んだ料理を作る俺を優斗さんは心配そうに見る。
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