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籠の中の天使
第13章 夢の中へ
ノアの手が私の頭にポンッと乗る。
「全身じゃなくていい。まだ高校生だからな。服と小物、後は見栄えだけで充分…。」
ニヤニヤして私とノアを見比べてる市原さんにノアが言う。
「ふーん…、今日のデートはお試しって事?」
「一応、脱がす予定はねえよ。」
「玲夜君にしては慎重なんだ。」
余裕のある大人の会話を市原さんとしてるノアが何者なのかと不安になる。
私は間違った人に変な事を頼んでしまったのかもしれない。
後悔などしてる間すら与えてくれずに市原さんが私をお店の奥へと案内する。
「後はよろしくー…。」
のんびりとしたノアの声だけが私の背中に突き刺さる。
お店の奥の扉を抜けると真っ白だったお店とは違う、少し落ち着いた雰囲気の部屋になる。
柔らかな絨毯が一面に敷かれた部屋の真ん中が応接になっててソファーと小さなテーブルがあり、壁際には照明が付いた鏡が幾つも並んでる。
「ちょっと動かないでね。」
私に声を掛ける市原さんが私の身の丈や袖丈を簡単にメジャーを使って測り出す。
思わず直立不動になる。
「靴のサイズは?」
「21…。」
「あら、小さい…。」
市原さんはスーツのポケットから出したメモにボールペンでサイズを書き留めてる。
「あの…。」
「自分の好みとかある?」
「サイン下さいっ!ファンなんです…。」
間抜けな私の答えに市原さんがクックッと笑う。
「ごめんなさい…。」
「いいのよ。サインくらい幾らでも…、でも私は芸能人じゃないからサインなんか下手くそよ。」
「市原さんのファッション…、大好きです。」
「じゃ、私にお任せでいいかしら?」
「はいっ!」
この段階でもうノアとのデートはどうでもいい気分になっちゃう。