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籠の中の天使
第13章 夢の中へ
憧れる市原さんのコーディネートの服が着れるというだけで今日の私は満足だ。
試着気分だった私は市原さんが持って来る服に着替えて小躍りしちゃう。
淡い緑のキャミソールワンピ。
少し濃い緑のレースで編まれたボレロを羽織る。
白いリボンが付いたサンダルに白いポシェット。
ブレスレット型の白い時計…。
ちょっとお育ちの良いお嬢様に見えるファッション…。
鏡の前に座る私の日本人形の様な髪の毛先に市原さんがヘアアイロンでカールを付けてくれる。
風にフワリと靡く、憧れだった大人の髪型…。
「まつ毛が多いから目尻だけのツケマでいいか…。」
仕上げのメイクまで市原さん仕様…。
薄い私の眉を少し書き足してから唇には淡いピンク色にパールが入ったルージュまで施す。
「高校生だから…、こんなもんかな?」
市原さんが真剣な眼差しを私に向ける。
鏡の中に知らない女の子が映ってる。
これが、市原さんの仕事…。
惨めな籠娘がノアに釣り合うお嬢様へと変わってる。
「さあ、玲夜君の反応を見てみよう。」
私の背中をポンッと押して応接室から再び真っ白なお店へ戻る。
ノアはお店の隅にある真っ白な応接セットのソファーに座り、コーヒーを飲んで携帯を弄ってる。
ノアの前に踏み出す自信を失くす私は思わず市原さんの後ろに隠れちゃう。
「あの…、私の服…、もう着替えます。」
考えてみれば、ここは高級ブティック…。
私みたいな子が着る服なんかあるはずない。
逃げ出そうとする私を市原さんが優しく笑う。
「私のコーディネートは気に入らなかった?」
「違いますっ!」
「なら背筋を伸ばして堂々とお店の宣伝をしてちょうだい。」
市原さんが私の背中を押してノアの前に立たせる。