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籠の中の天使
第16章 罪な事
本当にチキンをプロテインジュースで流し込むようにして食事するノアをぼんやりと眺めちゃう。
私にはジャムを塗ったトーストとオレンジジュース…。
なかなか起きなかった私の為にとノアがコンビニで買って来たご飯を食べてる。
「ジャム、付いてる。」
早々とチキンを食べ終えたノアが私の口端を親指で拭う。
「ノアはチキンだけで…、いいの?」
「朝は…、てか咲都子のせいでもう昼だけど、こいつしか受け付けない。」
「アスリートを辞めたのに?」
「染み付いた習慣だからな。トレーニングも現役の時に比べりゃ減ったけど、完全に辞めると身体が重くて動けなくなる。」
少し寂しげにノアが笑う。
アメフトにまだ未練があるように見える。
「それより、急げ。穂奈美さんが待ってる。」
ノアが急かすから慌ててトーストをオレンジジュースで流し込む。
「市原さんが待ってるって…。」
「今朝、咲都子の服を適当に揃えといてくれと頼んどいた。」
「市原さんに!?」
「とりあえず1週間分程度あればいいだろ?」
「そんなに要らないよ。」
「んじゃ、咲都子は裸で過ごすか?」
ノアと私だと、こういう時の感覚が違い過ぎて困っちゃう。
洗濯済みの昨日の服にノアのパーカーを羽織りマンションの地下駐車場に向かえば、デートの時の高級車が見えて来る。
改めて、その高級車がノアの車なんだと思うと少しノアとの距離を感じる。
「やっぱり…、ノアってお金持ちなんだ。」
ふと呟いた言葉にノアが少し眉を寄せる。
「国松が金持ちなんだよ…。」
吐き捨てるように言うノアを少し怖いと思う。
国松の名前を出す時のノアはいつも不機嫌な表情をする。