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籠の中の天使
第2章 苦しみと光…
ただ、南斗と一緒に暮らしながら南斗が居る学校に通うと学校側で問題になるから高校の3年間だけは家に帰らなければならない。
「学校が休みの日なら咲都子が好きな時にこの部屋に帰れるよ。連休も夏休みも冬休みも…ずっと俺が傍に居てやれる。高校さえ卒業をすれば咲都子の住民票だって動かせるから、咲都子が居たいだけこの部屋で暮らせる。」
南斗が私の未来を語り続ける。
私は籠娘でなく天使だから…。
なりたいものになれる。
なりたいものになれば、あの街から出て相原 咲都子として普通の暮らしを手に入れる事が出来る。
中学生の私を説得するように南斗は語る。
「それまで…南斗が傍に居てくれるの?」
「約束する。」
「なんで…、そこまでしてくれるの?」
「言ったろ?咲都子は俺の天使だから…、俺は咲都子が好きだから…、咲都子の為ならなんでもしてやる。」
ウトウトする私の眉間に南斗の唇が触れる。
「おやすみ、咲都子。俺は誰よりもお前の事を愛してる。もう2度と誰にも傷付けさせはしない。俺が必ずお前をあの街から出してやるからな。」
それは力強い約束だった。
睡魔に負けて完全に力が抜けた私の身体をギュッと力強く抱き締めて安心と温もりを南斗が与えてくれる。
翌日からの私は南斗の学校へ入る為に、南斗が仕事で居ない時間この家で一人で勉強する事となった。
南斗の居ない時間は寂しいけど、自分の為に南斗が頑張ってくれてると思うだけで真面目にやらなきゃと力が入る。
週末は無理をせずに休んだ方がいいと言う南斗が私を遊びに連れ出してくれたり、新しい服を買ってくれたりするから私の荷物が増えて来る。
そんな生活が半年以上続き、私は無事に南斗が勤める高校に合格する事が出来た。