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籠の中の天使
第18章 欲しいの…
そんなファッション誌に載るようなブランド品の高い服は買えないけども、修学旅行の時に恥ずかしい思いをするのは嫌だと言った私は南斗にその雑誌を見せて同じような服を買わせた覚えがある。
「モデルさんがキャンセルって…。」
女の子達に絶大な影響力のある雑誌だ。
「ティーンで選んだ子がね、親に内緒でオーディションを受けたらしいの。その保護者がモデルとかに反対してて、突然キャンセルされちゃったから、編集部じゃ大騒ぎ…。」
穂奈美さんが肩を竦める。
まさかと思ってノアを見る。
「そこで咲都子の出番って訳だ。穂奈美さんを助ける為にこの雑誌のモデルをやらないか?」
淡々と説明するノアの言葉に完全に凍りついて固まった。
「む…。」
無理…。
その2文字すら言えないほど喉が乾き水を一気に飲み干す。
「無理だよっ!」
空になったグラスをテーブルに叩き付けて叫んじゃう。
「あら、全然、無理じゃないわよ?今の段階でも充分に撮影が可能だと私は思ってるし…。」
両手で頬杖をつく穂奈美さんが満面の笑みを浮かべる。
「無理ですよっ!」
「咲都子ちゃんの親も反対するの?学校とか…、そういうのが出来ない規則?」
「親とか…、反対はしません。学校も…。」
もう辞める学校だから…、問題があるとは思わない。
「お願いっ!急な話で迷惑だとはわかってるの。でも咲都子ちゃんしか思いつかないし、今回だけは助けて欲しいの。」
私を拝むように穂奈美さんが両手を合わせて頭を下げる。
ノアは助けてと言われたら断れない人だ。
だから私を連れて来て欲しいと頼んだ穂奈美さんに私が決める事だと答えたのだと理解する。