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籠の中の天使
第18章 欲しいの…



狼狽える私の目をノアが覗き込む。

暖かい炎の瞳…。

その瞳が私に答えを求めて来る。


「私に出来ると思う?」


不安を口にする私の手をノアがしっかりと握る。


「咲都子に無理だと思うなら、穂奈美さんは始めっから他の人に頼んでる。穂奈美さんだってプロだ。咲都子に出来ると思うから咲都子に頼んでるんだろ?」


ノアの大きな手が私に向かって絶対に俯くなと言わんばかりに私の顔を包み込む。

顔を上げたままにされた私は、穂奈美さんのヘルプを拒否する事が出来なくなる。


「私で…、お役に立てるなら…。」


生まれ変わったばかりの私が出来る事は何でもやりたいと思う。


「良かったぁ…。編集部には私がモデルを連れてくって言っちゃったから咲都子ちゃんに断られたら大変だったのよ。」

「穂奈美さんなら知ってるモデルが山ほど居るだろ?」

「今はパリコレのシーズンってわかってる?しかもティーンのモデルって少ないのよ。」

「だからっていきなり咲都子を抜擢とかするか?」

「まだ誰も見た事がない市原 穂奈美が選ぶ新鮮なモデルとなれば雑誌的にもインパクトがあるでしょ?」


ハンバーガーにかぶりつくノアとご機嫌になってパクパクとロコモコを食べる穂奈美さんの会話を聞いてため息が出る。

食欲が無くなった私はロコモコのセットに付いてたサラダをアイスティーで流し込むしか出来なくなる。


「とにかく、今夜は夜更かしは厳禁。お肌を乾燥させないように保湿には充分に気を付けてね。」


明日の撮影に対する心構えについて穂奈美さんが念を押す。

ハンバーガーを食べ終わったノアは私のロコモコをスプーンで掬いながら


「肌とか気にする前に咲都子は食事をしっかり摂れ。」


とか言って無理矢理にでも私に食べさせる。


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