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籠の中の天使
第19章 羽ばたく瞬間
ノアに失神させられた。
それだけは覚えてる。
自分でも訳がわからなくなるほど悶え続け、全身で頭がおかしくなるほどの熱が帯びるのを感じた。
その熱がやっと冷めれば寒気で目が覚める。
「ノ…ア…。」
足が少し震える。
まだベッドが湿ってる。
溢れた愛液が飛び散るほどノアの激しい責めを受けた。
それでもノアは私を抱こうとはしなかった。
ノアが欲しいと身体は強請るのに、私の口からはそれが言えないまま意識を失って終わった。
もうベッドにノアは居ない。
朝のルーティーンに出て行った。
きっと帰って来たノアは夕べの事は何もなかったかのように私に優しく笑いかけて来る。
少しでもノアの優しさに応えたいと思う私は震える足を踏ん張ってベッドから這い出でる。
熱いシャワーを浴び、メイクを済ませて服を着る。
準備を済ませてリビングに行けば、ランニングから帰って来たノアが私を見て笑顔になる。
「まだ寝てて良かったのに…。」
「お腹が空いちゃったんだもん。朝ご飯の用意をするからノアはシャワーを浴びて来て…。」
ノアの厚い胸板に手を添えて、上目遣いの視線で可愛さをアピールしながら恋人のように振る舞う。
フッと笑うノアが私の演技に合わせてキスをしてくれる。
「後は任せた。」
私の唇をペロリと舐めて離れるノアがお風呂場の方へ消える。
ノアは私の恋人じゃない。
ノアは私を愛してはいない。
それでもノアは、こんな私の為に人並み以上の幸せを与えようとしてくれる。
彼の望む姿の私になりたいと思う。
怯えた籠娘のまま、腐っていく女で終わりたくない。
夕べまでの緊張が嘘のように消え失せた今朝は落ち着いた気分で朝食を食べてノアと静かに過ごす。