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籠の中の天使
第20章 愛の差
「どうすれば、穂奈美さんのようになれますか?」
穂奈美さんがランチに選んだお店は普通のカフェだった。
そのお店の日替わりランチが好きだと言う穂奈美さんや千鶴さんとランチが出来るチャンスに自分の信じる未来への助言が欲しくて質問する。
「コーディネーターになりたいって意味?」
頬杖をつく穂奈美さんが真っ直ぐに私を見る。
「私では穂奈美さんのレベルにはなれないとわかってます。でも今日の撮影を見て、私も将来はファッションの世界に進みたいと本気で思いました。もしも大学に行くべきだと言うなら行こうと思います。とにかく、その道に進める方法が知りたいのです。」
私なりに一生懸命に答えたつもりだったのに...。
「プッ...。」
と笑う千鶴さんが居て、穂奈美さんが苦笑いを浮かべる。
私には無理だと言われるのだろうか?
そんな不安に胸が締め付けられる。
「アパレルの業界に進むのに、わざわざご立派な大学へ行く人なんか殆ど居ないわよ。」
耐えられなかったように千鶴さんがゲラゲラと笑い出す。
穂奈美さんも肩を竦めて
「専門学校は資格を取る為に有りだけど、本当にこの業界で働きたいなら、しばらくはモデルとかショップの店員やアシスタントをして自分の目を肥やす事が重要なのよね。」
と話をする。
「目を肥やす?」
「要は経験の全てが自分の才能の糧となるの。最前線で常に流行の波の向こう側を見据えて、次の流行を創り出す。これに成功した人だけがこの世界でやっと認めて貰える。」
既に認められているコーディネーターとして厳しい表情に変わる穂奈美さんは真面目に私の為に答えてくれる。