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籠の中の天使
第22章 攻撃
「今更、確認ですか?」
萎縮して動けなくなった私を隠すように北斗さんが私の前へと歩み出る。
南斗と同じで私を守ろうと必死なる北斗さんは良きお兄ちゃんのまま変わってない。
「ええ、確認です。satoさんがモデルとして、この世界でやっていけるかどうか…。例え息子の紹介だとしても親馬鹿だけではビジネスは成り立ちません。」
ノアのお父さんは穏やかな笑顔をしてるのに、その眼は全く笑っていないと子供の私にでもわかってしまう。
「咲都子ちゃんは…、実際に咲都子自身がモデルをやりたいと願った訳じゃありません。アパレルという世界で勉強を積む為にモデルという仕事を紹介されたというのが、こちらの認識です。」
北斗さんが私の為に話をしてくれる。
「ええ、存じ上げております。ですが、うちとしては契約をする以上はsatoさんをうちの商品に相応しいかどうかという判断から始めなければなりません。」
「商品…ですか…?咲都子はまだ高校生ですっ!それを商品という言い方をするのですか?」
「高校生であろうと子役であろうと、うちで契約をするモデルは全て商品です。その価値があってこそ、会社は商品の希望を最大限までサポートする契約になってます。」
「価値って…。」
ノアのお父さんの厳しい言葉に北斗さんが言葉を失う。
「後3日でその価値がはっきりとする。僕はその価値がわからないまま、契約を決めなければならない。もし契約をせず、彼女の価値がとんでもないものだったとしたら僕は価値を見定める事が出来なかった愚かな社長として名を残す事になる。」
話の内容はとても厳しいと思うのに、時折、ふと見せる笑顔にノアと同じ暖かみを感じる。