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籠の中の天使
第22章 攻撃



泣く事しか出来ない惨めな籠娘に戻された瞬間だった。

私の携帯に岡田さんから連絡が来た。

私の代わりに南斗が出る。

岡田さんの要件は必要な物があれば岡田さんが持って来るから私と南斗は家から出るなという話だった。

昼前にはテレビでの状況が悪化していた。

穂奈美さんや千鶴さんが今回の1件に対してノーコメントを発表したからだ。

そのせいで穂奈美さん達もマスコミの攻撃対象となり、批判的なコメントばかりが映される。


「謝ら…なきゃ…。穂奈美さんに謝ら…。」


呪文のように、その言葉を繰り返す私を南斗は抱き締める。


「大丈夫、咲都子は何も悪くない。咲都子が謝る事なんか何もないからな。」


南斗がそう言っても、私のせいで関係のない穂奈美さん達にまで迷惑を掛けたのは事実だ。

南斗だってもう学校へは戻れない。

いや、南斗は教員だ。

私と居る南斗を雇う学校すら無くなるかもしれない。

私と関わる全ての人に謝罪する事しか考えられなくなる。


「ごめん…なさい…。」


謝ったところで、ちっぽけな私には何も出来ない。

謝って泣くだけの私を南斗は笑いながら慰める。


「言ったろ?世界中に反対されても俺は咲都子の傍に居てやる。世界中が咲都子を悪魔だと言っても咲都子は間違いなく俺の天使だと思ってる。それは俺だけじゃなく、咲都子を知ってる皆んながそう思ってるよ。だから咲都子は笑ってればいいんだ。」


何度、涙を流しても南斗は指先で涙を拭い続ける。

こんな事になるなんて思ってもみなかった。

事務所やノアのお父さんが私の扱いには慎重にしなければならないと言った意味が今更になってわかる。

籠娘は夢なんか見てはいけない。

そうやって自分の心を自分自身で傷付け続ける私の時間は再び失われつつあった。


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