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籠の中の天使
第22章 攻撃



私の名前や顔写真は全て伏せてある。

それでも穂奈美さんが特集を組んだ雑誌の少女となれば私しか出て来ない。

岡田さんに連絡を…。

震える手が携帯を上手く使えない。


「咲都子っ!」


1時間もせずに南斗が帰って来た。


「南斗…、学校は…?」

「出勤前に帰れって連絡が来た。同時に北斗からも連絡が来て、テレビで凄い騒ぎになってるって…。」


部屋に入るなり南斗がテレビを点ける。


『そもそも、あんな街が現代になっても、この日本に残っている事が間違いなのですよ。』


弁護士という肩書きを持つコメンテーターがテレビの向こう側であの街を批難する。


『何故、あの街は法律で裁かれないのですか?』

『法律の抜け穴をすり抜けてますからね。今回のように表沙汰にならない限り、警察も手出しが出来ないままになってるのです。』

『とにかく未成年ですからね。その未成年だという事実を街ぐるみで隠されたりすればどうにもならないのが現状って事ですね。』


あの街を知らない人が好き勝手な事を言う。

まるで私があの街で働いていたような言い方に変わってる。

私の生まれた街が私のせいで攻撃を受けている。


「いやぁぁぁっ!」


叫ばずには居られなかった。


「咲都子っ!落ち着けっ!」


南斗の怒鳴り声がする。

耳を塞いで南斗の言葉さえ遮断する。

私がくだらない夢を見たから…。

私があの街を出ようとしたから…。

だから、あの街が怒ってて南斗や私を愛してくれる全ての人を傷付ける。

籠娘のまま生きれば良かった。


「ごめんなさい…、ごめんなさい…。」


南斗の腕の中で泣きながら謝るしか出来なかった。

私の小さな羽根は一瞬でもぎ取られる。


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