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籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…
社長さんの会見から初めての仕事が来た。
その前に千鶴さんが打ち合わせをしたいと言ってると岡田さんが言うから心臓が締め付けられる感覚がする。
携帯のメッセージだけでは千鶴さんと穂奈美さんに謝罪はしたけど2人共、返事をくれる事はなかった。
迷惑な子…。
そう思われていても仕方がない。
逃げる訳にもいかないからと千鶴さんが来いと指定する穂奈美さんのお店へ向かう。
私の送り迎えをする岡田さんは何も言わない。
私だけが緊張したまま穂奈美さんのお店の前で車から降りる。
「午後から撮影だから、スタイリストとの打ち合わせが終わったら直ぐに連絡してよ。」
岡田さんは私が千鶴さん達と付き合うのはあくまでもビジネスなのだと割り切れと言う。
そんな風に割り切れない私だけが胸が張り裂けそうになり、呼吸が荒くなる。
憧れだった穂奈美さん…。
その憧れにほんの僅か近付いただけで、とんでもない迷惑を掛けてしまった。
どんな風に思われたとしても謝罪をしなければならない。
震える足でお店の入口前にある階段を登る。
重いガラス扉を開けて俯いたまま中へと入る。
ふわりと誰かが私に抱き着いて来る。
「ごめんね…、ごめんね…、咲都子ちゃん。」
泣きそうな声がする。
「穂奈美さんっ!?」
謝るのは私の方なのに、先に泣いてる穂奈美さんが私を抱き締めたまま謝り続ける。
「ほら、穂奈美、咲都子が困ってるから離れなさい。」
苦笑いをする千鶴さんが穂奈美さんを私から引き剥がす。
「だって、あんな状況で咲都子ちゃんを独りにしたんだよ。私だったら耐えられない。」
少しパニック気味の穂奈美さんが泣きながら私を見る。