この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…
泣き続ける穂奈美さんを抱える千鶴さんが困った表情で話をする。
「あの日、穂奈美も私もコメントを出す準備はしてたのよ。でも、ノア社長から出すなと止められてしまったの。」
千鶴さんが悔しそうに唇を噛む。
「社長さんが…、だけど、穂奈美さんや千鶴さんに迷惑を掛けたのは私だから、だから、だから…。ごめん…。」
「謝らないでっ!咲都子は謝っちゃ駄目なのよ。」
「でも、千鶴さんっ!」
「アンタは何も悪くないの。そのアンタが謝ったら、あの記事を認めてしまった事になる。私達はそれだけは許さない。」
謝るなと叱られた。
どうしていいのかわからずに俯いた私の顔を千鶴さんが強引に持ち上げる。
「咲都子、アンタ、もうプロなのっ!顔を上げなさいっ!」
「はうっ…。」
相変わらずの千鶴さんだと思うだけで胸が熱くなって来る。
「勝手な言い分だとは思う。私達だって狡い大人だと思う。それでも咲都子に聞いて欲しい話があるから仕事の前に話をしておきたいと呼んだのよ。」
千鶴さんの言葉に唇を噛む穂奈美さんが涙を拭う。
「咲都子ちゃんにモデル撮影を頼んだ日の夜に、突然、玲夜君から連絡が来たの。」
正直、ノアの話は穂奈美さんも理解が出来ずに迷ったらしい。
『もしも、咲都子をモデルとして使う場合、今の市原 穂奈美の名が傷付く恐れがある。但し、咲都子を使えば今まで以上に市原 穂奈美の名前が売れる事だけは保証する。これは博奕と変わらない。無用な危険を犯すべきじゃないと判断するなら撮影の後にでも咲都子の写真は使えなかったと言えばいい。咲都子は穂奈美さんからそんな風に言われたとしても普通に納得が出来る子だからな。』
ノアは一方的にそんな話を穂奈美さんにした。
いきなりの話に穂奈美さんだって迷った。