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籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…



なんとなく、感覚だけでわかる気がする。

お母さんが笑えない子はと醜い子になると私に教えた。

あの街にもあの街の誇りがある。

あの街では女の子が売られている。

だからと言って自分だけが不幸だからと嘆いたところで誰もそんな女の子を買いたいとは思ってくれない。

私がモデルとして売るのは笑顔だけしかない。

何も感じずに、とりあえずの作りものの笑顔を売ったところで誰も私を見てはくれない。

自分は決して不幸なんかではなく、誇りを持って幸せな笑顔をしなければ、誰にも何も伝わらない。

千鶴さんにメイクの直しをお願いしてから、もう一度、カメラの前に立つ。


私は幸せだ…。


穂奈美さんや千鶴さんが居てくれる。

ノアだって、いつでも助けてくれると約束をしてくれた。

そして、南斗はどんな状況でも必ず傍に居てくれる。

貧しくても、自分の部屋が無くても、学校に行けなくても、私を守って助けてくれる人が居るだけで充分に幸せだ。


「よろしくお願い致します。」


再び、カメラマンさんに頭を下げる。

少しだけ天を仰ぎ、私の大好きな人達を思い浮かべる。

それから、ゆっくりと笑う。

私は幸せだと伝えられる笑顔をカメラに向ける。


「うん、いいよ。そのまま、首を傾けてみて…。」


カメラマンさんが嬉しそうに笑ってくれる。

『Beau』の社長さんも笑いながら頷いてくれる。

スタジオ内に笑顔が溢れ出す。

誰もが笑顔になるから、私も嬉しくて飛び切りの笑顔をカメラに向ける事が出来る。

どんな状況でも、誰もが幸せになれますように…。

その願いを込めて私は笑う。


「お疲れ様でしたっ!」


衣装を二度ほど変え、メイクを何度か変えながらも、撮影無事に成功した。

最後はスタジオ中の人達から、満載の拍手を貰い、少し照れ臭いとか思いながらも満足が出来るお仕事だった。


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