この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…
「美味ひぃーっ!」
ルージュの事なんか、すっかり忘れて社長さんがくれたケーキに一口二口と齧り付く。
「うん、お口に合ったなら良かった。こんなに可愛らしいモデルさんに美味しいと言って貰えたと知れば、きっと知人も喜びます。」
私の隣に座った社長さんも一緒にケーキに齧り付く。
「お知り合いはパティシエさんですか?」
「いえ、彼女は趣味で作ってるだけですよ。まだ練習中だからと作れるチャンスがある時はたくさん作ってくれます。」
「凄ーいっ!お店で売れちゃうレベルのケーキですよ。」
ご機嫌でケーキを食べる私を見る社長さんがウンウンと頷いてから
「その笑顔でお願い出来ませんか?」
と言う。
「その…、笑顔?」
「今のsatoさんは、とても幸せそうに笑ってます。さっきの笑顔も良かったけど、今の笑顔の方がsatoさんを見た人全てに幸せを与えてる笑顔の様な気がします。」
「幸せを…与える笑顔…。」
「俺…、ファッションとか商品イメージとか本当はよくわかってなくて…。でも、商品イメージで求めてる天使の笑顔って、多分、人に幸せを与える笑顔じゃないかと思うのです。何もわかってないくせに生意気な事を言ってたらすみません。」
「いえ、全然…。私も商品イメージとか全くわかってなくて…、ごめんなさいっ!」
「いやいや、satoさんが謝る事は無いです。商品イメージをちゃんと伝えてない、こちらの落ち度ですから…。」
2人でケーキを食べながら、お互いでペコペコと頭を下げる変な休憩時間を過ごす。
「もう一度、撮影をお願いします。」
社長さんにお願いして撮影のやり直しをして貰う。
「喜んで…。」
座っていた私へ騎士の様に手を差し出して立たせてくれる。